『恋文の技術』 森見登美彦
ただひたすら手紙である小説。
大学院生である守田一郎氏が関係者に宛てて書いた手紙がただ並んでいるだけであるはずなのに、守田一郎氏をとり巻く人々の姿がありありと見えるし、時の進行が感じられるし、そして何より愛が感じられるのです。
手紙というのはなんとすばらしいのでしょう。
相変わらず森見さんの書く男子は冴えず、思わず
「阿呆や」
と何度もつぶやいてしまうほどです。
しかし、人間誰しも阿呆な部分は持っているのです。
完璧な人間なんていません。
完璧さを装おうとして、逆に阿呆さをさらけ出してしまうことだってあります。
人間とは愛おしい生き物です。
そして例に漏れず阿呆なわたしもやっぱり愛おしい生き物なのです。
ここではたと気づきます。
手紙だってきっと完璧さを求める必要はないのでしょう。
手紙に必要なのはただ一つ。
それはこの本を読んでのお楽しみですけれど。
それがあるから、わたしたちは手紙をもらってうれしいのですね。
メールが一般的になりつつある現在ですが、文通というものをしてみたいなあと思いました。
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