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『悼む人』 天童荒太

求めていたものが描かれていた。

それは、自分がこうありたいという姿でもあったし、人にこうあってほしいと願う姿でもあった。

ここ数年、わたしの中にあった自分のありかたについての問いに、一つの答えが示された気がした。

その問いとは、わたしは人の死を純粋に悲しむことができているのだろうかということだ。

人が亡くなったときに流した涙は、はたして故人を思っての涙だったろうか。

残される自分がかわいそうで流す涙ではなかったろうか。

あるいは人の死と自分の死とを重ねて恐がっているだけではなかったろうか。

結局わたしはわたしがかわいいだけではないのだろうか。

自分が浅ましく薄情な人間に思えたし、罪悪感もつのった。

だけどこの小説を読んで、「悼む」ということを知った。

これこそが自分の理想とする姿だ、と思った。

と書いてしまうと、とても傲慢な気がする。

静人と同じようなことはわたしにはできない。

彼と同じような境地に達することは難しいと思う。

でも彼のように、ある人の人生を胸に刻むという「悼み」は自分にもできそうな気がする。

純粋にその人のことを思えそうな気がする。

それはなにも亡くなった人に限られるものではなく、生きて触れ合っている人たちを純粋に思うことにもつながるかもしれない。

死を考えることは、生を考えることにつながるのだから。

人を愛するということはこういうことなのだと、深く心に響いた。

とても、とても良い本でした。

この本にめぐり合えたことを本当にうれしく思います。

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ケーキ1個

立て込んでいた仕事にとりあえずひと区切りがついたので(ついたのか?)、帰宅途中の車の中で一人で反省会をしながら、自分を慰労したくなりました。

そこで、バレンタインデーに生徒からもらったお菓子のお返しを買うためケーキ屋さんに寄って、ついでに自分の分のケーキも買うことにしたのです。

しかし、しかしですよ、みなさん。

ホワイトデーでにぎわう店内で、ケーキ1個だけ買う勇気はわたしにはありません。

クッキーも買ったけど、それプラスであってもケーキ1個って。

ケーキを1個だけ買うわたしを、店員さんはどう思うのだろうなんていうくだらない心配をしてしまうわたしには、ムリーーー。

そう、思えばちょうど1ヵ月前。

その日がバレンタインデーであるということを忘れていたわたしは、実家に帰るのに手土産でも持っていこうとケーキ屋さんに寄ったのでありました。

比較的すいていた店内で、家族で食べるのだからと小さめのホールのケーキを頼んだところ、店員さんに、

「リボンはかけますか?」

と聞かれたのです。

「あ、別にいいです」

実家に持っていくだけだから必要ないなと思ってそう答えました。

しかし、包んでもらっている間、他のお客さんの姿を見ながらある可能性に思い当たったのです。

も、もしやこの店員さんはわたしが彼氏とこのケーキを食べると思っているのではなかろうか!?

「違うんです。これはただの家族への手土産です。」

と、店員さんにいらぬ言い訳をしたくなるような複雑な気持ちになったのでありました。

ケーキの箱には、辞退したにもかかわらずかわいらしくリボンがかけられていました…

こうして、他人にどう見られるかを気にするあまり、今日もケーキを2個買ってしまったのでありました。

べつに食べるからいいけどね。

見栄っ張り、意気地なし、小心者、なんとでも呼んでくれぃ!

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『もの食う人びと』 辺見庸

1992年から94年まで、筆者が世界中を旅し、どこで何が食べられているか、あるいは食べることができないでいるかを、見て、食べて、感じたことを綴った本。

食べるということを通してこんなに世界が見えるものなのかと驚かされた。

それにしても、15年前の日本と今とを比べてみれば、自分個人の身の回りを振り返るだけでもさまざまな科学技術の進歩がみられる。

携帯電話、パソコン、テレビ……

良し悪しは別として、生活は大きく様変わりした。

では世界はどうか。

この本に描かれている国々の名を今でも耳にする。

15年経っても状況が変わっていない国もある。

変わらないまま歴史の中に埋もれていこうとしている事柄もある。

15年、わたしたちは一体何をしてきたのだろう。

時間の流れと、そこで生きる人々について考えさせられた。

今読んでも全く古いと感じないそのことが、ある意味悲しくもあった。

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「A COMMON BEAT」

NPO法人コモンビート主催のミュージカル。

社会人を中心とした出演者達100人が、100日をかけて作り上げる舞台なのだそうだ。

4つの大陸から成る世界。

互いの存在を知らなかった人々が、あるとき他の大陸の存在に気づき交流を始める。

しかし、それを不安に思う人々も現れて…というストーリー。

異文化理解、共生をテーマとしたミュージカルだ。

出演者やスタッフたちの熱い思いが伝わる舞台だった。

世の中にはおもしろいことをやっている人たちがいるなあと思った。

そもそもどうしてこのミュージカルを観に行くことになったかというと、うちの高校の卒業生で現役大学生のみっちーが誘ってくれたからである。

土曜日、お昼に待ち合わせをして、学生が経営するというカフェでランチをした。

そこで彼女のさまざまな活動の話を聞いて感心した。

いろいろなところに飛び込んで、いろいろな人と知り合いになって、どんどん世界を広げている彼女は、本当にすごいと思った。

しかも、まだまだでかくなりそうなのでとても楽しみ。

「うちのボランティア部と協力してなにかしようぜぃ」と2人で盛り上がり、そのあとみっちーの知り合いのフェアトレード商品を扱っているお店に向かった。

大きなお店の中に一つ二つフェアトレード商品が並んでいるのは今までにも見かけたことはあったけど、フェアトレードの専門店みたいな場所は初めてだったのでとても新鮮だった。

お店の方も大変気持ちのいい人で、コーヒーをご馳走になりながらいろいろな話をした。

オレンジチョコレート、シナモンチョコレート、スリランカ産のセイロンアールグレイ、それとガザパレスチナ自治区緊急支援クッキーを買った。

このクッキーは、バターを使わずにオリーブオイルを使っている。

パレスチナ・オリーブを化学薬品を使わず低温圧搾して作られている上質のオリーブオイルなのだそうだ。

オリーブ栽培を強化することで、パレスチナ人が自立し、人々が対等に共存していける社会を作っていこうという活動の一環だということで、一袋買ってみた。

重曹を使っているので、なんだか懐かしいような味がした。

それから愛知県勤労会館に向かった。

なんだかみっちーと過ごした半日はすべてつながっていて、彼女の過ごしている毎日をダイジェストで見せてもらったような気がした。

わたしもがんばらねば! と勇気をもらった一日でした。

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