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第四十三回吉例顔見世 達陀

達陀〈だったん〉

僧集慶を尾上菊五郎さん、青衣の女人を尾上菊之助さん、堂童子を尾上松緑さんが演じます。

東大寺二月堂のお水取りを舞踊化した作品です。

薄暗い中、大松明を持って人々が二月堂に向かうところから始まり、厳粛な雰囲気が劇場内に満ちます。

その後、堂童子の踊り、散華の行の様子が演じられ、いよいよ集慶が過去帳を読み上げます。

そこに女人が現れるのですが、これが記録に基づいたものであるということがおもしろいですし、さらにこの女人を集慶の元恋人若狭とし、集慶の煩悩の象徴とした演出もすばらしいと思います。

苦しい修行から逃げ出したいという気持ちは集慶といえどもどこかにあって、女人がその綻びを大きくしようと美しい舞いで誘惑します。

何回もくり返しますが、菊之助さんは美しいのです。

この吉例顔見世では3役演じられますが、「かさね」の累はかわいらしくおそろしい役ですし、「鳴神」の雲の絶間姫はデキる美女という感じですし、この「達陀」の女人は幻想的な女性です。

それらを演じ分け、それぞれの美しさを表現している菊之助さんはすごいです。

表情がしっかり見える特別席でほんとうに良かったv

さて、煩悩を断ち切り、集慶は踊り始めます。

このあたりからだんだん踊りが激しくなってきます。

そして圧巻なのが最後の群舞です。

歌舞伎の舞台があんなに人で埋め尽くされるのを見たのは初めてかもしれません。

群舞ということでイメージとしてはよさこいソーランを思い浮かべるといいかもしれません。

でも雰囲気はまるで違っていて、そこはやはり苦行。

重々しく激しい踊りは見ているわたしまでも我を忘れるほどでした。

達陀の行が終わると、また舞台は静かな場となります。

その静と動と時間の移り変わりが良くて、終わってから一緒に観にいった母と「すごかったねぇ、すごかったねぇ」と繰り返し言っていました。

歌舞伎にもこういう舞踊があったということに驚きました。

舞踊はちょっとわからないゎ、という人でもきっと楽しめると思います。

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